2015年11月9日
ンガソージ(大精進)の日
今日は11月9日、己丑(つちのとうし)の日。
「戊子(つちのえね)に蒔いた種子がしっかりと土に付くように」
と静かに見守る日です。
ンガは“大きい”の意、ソージは“精進”との意味があり、
ンガソージ(大精進)と云われています。
かつてのこの日は、音も出さず静かに過ごす日とされ、
淹れるお茶も濃く出さず薄くしていただいていたそうです。
現在では、
種子取祭奉納芸能の二日間、観光業は一斉にお休みするので、
普段より大勢の来島者が訪れる日となり、
こうした雰囲気はあまり感じられませんが、
その名残りは島にいくつも残されています。
例えば、玻座間民俗芸能保存会の庭の芸能を行うメンバーは、
集落のはずれ(今年は浄化センター前)で最終チェックを行います。
これは、集落内では静かに過ごし芸能の稽古は集落外で行われるという
「仕組み」がかつては西桟橋で行われていたことに由来します。

2012年のタナドゥイでのフクミ。
西桟橋近くの旧ビジターセンター跡地で行われた。
ンガソージの夜は、
明日の奉納を迎えるにあたりフクミ(稽古総見)が、
芸能の統括者にあたる国吉屋、生盛屋をはじめ三集落の集会所で行われます。
必ず奉納しなければならないジーキョンギン(呪狂言)をはじめ、
フーブドゥイ(集落を代表する舞踊)などの最終チェックを行います。
タナドゥイのハイライトである奉納を迎える前日であるンガソージ。
芸能を奉納するメンバーをはじめ、裏方を務める人々にとっても
気が引き締まる一日です。
(ta)
2015年11月7日
タナドゥイの祈願
4日のトゥルッキで今年のタナドゥイ(種子取祭)が始まった竹富島。
5~7日の3日間は祭の準備に充てられます。
今夜も各集会所では、10日・11日の奉納芸能に向けての稽古が行われ、
夕刻の17時からは
奉納芸能の会場となる世持御嶽の清掃が島を挙げて行われます。
そして、明日はタナドゥイで最も大切な祈願の日、
戊子(ツチノエネ)の日にあたります。
竹富島のタナドゥイの象徴でもある戊子の日。
神司の皆さんは、
祖神である六山(ムーヤマ)の神々のもとへ足を運び、
世持御嶽で奉納芸能が執り行われることをご案内します。
また、竹富公民館執行部は午前8時から行われる
18歳から69歳までの男性が総出で取り組む幕舎張りのあと、
神司と合流し、世持御嶽、国仲御嶽、清明御嶽を参拝したのち、
6つの村の種子取祭を統一した根原金殿(ネーレカンドゥ)が祀られる
根原屋(ネーレ)を参拝します。

2011年のタナドゥイ祈願のネーレのザー(一番座)。
まだ供物は捧げられていない。
タナドゥイにおける重要な儀式のひとつである、
主事宅への参詣の準備もこの日で仕上げ、
主事の晴れ舞台を祝い、多くの島民が一番座へ参拝に訪れます。
それぞれの家の一番座にもイバン(オヒシバ)とユッキ(ススキ)を飾り、
タナドゥイの祈願の訪れを屋敷神にお知らせします。
(ta)
2015年11月5日
トゥルッキ
昨夜のトゥルッキの儀式を経て、
平成27年度のタナドゥイ(種子取祭)が始まります。
がんじがらめという意味を持つ「トゥルッキ」。
この日を境に、
11月10日・11日に執り行われる奉納芸能に向けての役割分担が決まり、
神々と無事にタナドゥイの奉納を執り行えるよう約束します。
その役割は、神前へ神供物として捧げられる奉納芸能の演者ばかりでなく、
タナドゥイの奉納を統括する総務係、会計を担う経理係、
お酒や花米などの供物を管理するクーバン係や供物係、
裏方を務める座待(ザータイ)係など、総勢153名が役に縛られます。

11月4日、国吉屋でのトゥルッキ。ホンジャー(長者)のザーの前にて。
しかし、役に縛られる方々だけのタナドゥイではありません。
タナドゥイを心待ちにしている島のお年寄りや子供たち、
帰省する大勢の島出身者がタナドゥイの盛り上げ役を担います。
さらには、地謡や舞踊をたしなむ方々や民宿の常連客、
そして島を訪れる観光客の皆さま。
大勢の方々がそれぞれの思いを持って、
今年のタナドゥイ奉納の二日間を迎えます。
実は、
それがタナドゥイの奉納の醍醐味といえるでしょう。
(ta)