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・祭・種子取祭
日本列島の南に連なる沖縄の島々は、かつて琉球王国を形成し、独自の文化の世界に彩られていた。琉球王国の宮廷社会ではもちろんのこと、島々や村々においても、神話や伝説や歌が伝承され、踊りや狂言や組踊が神々に奉納された。その琉球文化に接するとき、ある人は、遠い昔の原日本の風景に想いを馳せる。ある人は、中国をはじめとするアジアの国々の文化を感得する。またある人は、沖縄の悲劇的な歴史を想い、忍苦の歴史を辿った沖縄が、なぜ、このようにあでやかで豊かな文化を生み出したのかと、いぶかしく思う。
この豊かな琉球文化の波は、沖縄本島からさらに南の八重山の島々にも打ち寄せられていた。竹富島の人々は、打ち寄せられた文化を慈しみ、彼らの生活の糧として育んできた。それらの一つ一つの文化は、何百年もの時を経て、竹富島の景観になり、竹富島の伝統芸能になったのである。
種子取祭に参加した人ならば、誰もが体験することは、心の底から湧き上がる感動と、参加した仲間との連帯感である。親から子へ、子から孫へと、先祖代々受け継いできた種子取祭のエネルギーが、我々を人間の歴史的、共同体的な営みの輪の中に包み込んでくれるからである。
種子取祭が、いつ頃始まったのかはわからない。島に人が住んで、農業を始めた頃に種子取祭が行われていたとするならば、種子取祭の始まりは12世紀頃と想定され、それは今から900年前のことになる。しかし、島の農業の始まりがただちに種子取祭の始まりであると考えるのは早計であろう。沖縄本島で行われていたタントゥイ(種子取)が、八重山の島々にも伝わったと考えるのが妥当である。とすると、種子取祭の始まりは、1500年前のオヤケアカハチ事件前後のことであろうか。
はっきりした種子取祭の起源を知ることはできないが、はじめの頃の種子取祭は、島の6つの御嶽でそれぞれ祭を行っていたと伝えている。現在のように島全体が一緒になって行う種子取祭は、八重山に干支が普及した17世紀以後のことと思われる。
近代の種子取祭は、第一期、第二期、第三期に分けて考えることが出来る。
(1)第一期は、明治36(1903)年の人頭税廃止〜昭和20(1945)年の終戦までとする。人頭税の廃止は、士族統治の廃止であり、 それによって、八重山の人々は本格的に旧制度から開放された。その頃の種子取祭は、旧来の士族の支配が終り、組踊や宮廷舞踊などを盛んに取り入れており、その後半期には「仁王」や「曽我兄弟」などの芸能も取り入れたと思われる。しかしながら、 衣装は素朴で、紅型などはなかったと思われる。 (2)第二期は、終戦後の昭和21(1946)年〜昭和51(1976)年の国立劇場公演までとする。終戦により、多くの帰島者が溢れた時期から、急激な過疎化に見舞われた時期である。終戦後、都会帰りの青年たちが、劇団「スバル座」を結成し、新しい演劇の時代を迎える。しかし、昭和40年代に入ると、芸能を楽しみ、祭りを楽しむ傾向よりも、徐々に種子取祭の保存継承の意識が強くなり、種子取祭を島の中心行事と考えるようになった。また、過疎化により、石垣島在住の出身者が奉納芸能に参加するようになったのもその頃である。 (3)第三期は、国立劇場公演の翌年の昭和52(1977)年〜現在までとする。国立劇場の公演を契機に、演出や衣裳などに関心が高まった。また、幕合いの時間をなくして間断なく舞台芸能を奉納し、伝統の保存に対しての意識は一段と高くなったが、一方では農耕儀礼としての意識が薄れ、住民の健康や島の繁栄を祈る祭りといった傾向が強くなり、本土在住の島出身者も種子取祭に参加するようになった。
種子取祭の特色は、玻座間と仲筋の二つの村が奉納芸能を競演することである。その顕著な例は、各々の村は、過疎になってもお互いの村を頼ることなく、石垣島に住む同村出身者を頼って芸能を奉納していることであり、両村は相互に負けまいと切磋琢磨して来た。芸能が現在も高レベルに保持されてきているのには、良い意味での競いあうエネルギーのぶつかりあいがあった。祭の時期よりも、その始まる前の時期に島を訪れるとそのことがよくわかる。「百聞は一見にしかず」である。
昭和52(1977)年、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
●今年の具体的な種子取祭の日程は、当HP内「よくある質問集」の「種子取祭の流れ」をご覧ください。
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