第9回島立て学校は、無形文化遺産講座。
沖縄国際大学教授の狩俣恵一先生をお迎えしての開催です。
テーマは、ズバリ「種子取祭のキョンギンを楽しく鑑賞する」。
キョンギン(狂言)は八重山の島々村々の祭祀を中心に演じられています。
ほとんどの地域では方言のわからない世代が現れ、その継承が危ぶまれているのが現状です。
そんななかでも、竹富島は、種子取祭を中心に、質・量ともに豊かなキョンギンの世界が展開されているといわれています。
これまで種子取祭の芸能は、多くの研究者によって論じられていますが、島で生まれ育った狩俣先生の講座は、安心して耳を傾けることができます。
沖縄は名護、小浜島、黒島、古見などのあまり見た事のない映像もおりまぜながらの講座。
現在の竹富島の芸能より素朴さを感じるものもあり、
かつて、竹富島の種子取祭がマイヌオンで行われていた時に通ずるものだそうです。
伝統とは全く変化しないものではないが、変えてはならない精神性がある。
竹富島はそうやって数々の伝統を受け継ぎ、また、作り上げてきたと。
時代の変化を綿々とつなぎとめ、時代の流れを受けとめ、伝統への回帰を目指す。
現在、竹富の古典といわれるものは、実際、昔より時間が長くなっているそうです。
全く同じようにそのままのコピーとして継承するのではなく、
心を込めて踊り、現在の状態として継承されている。
しかし、精神性にいたっては変わらずに継承する、それがあるからこそ現在まで息づいている。
だからこそ、竹富島の芸能は、見る人の心を揺らし、
強く引きつける力があるのではないでしょうか。
戦後の種子取祭は、いかにハイカラで格好よくやるか、という要素を盛り込んでいった。
そのような時代を乗り越え、また、その時代の足跡があるから今があり、伝統は伝統として守り抜く。
我々にとって、気持ちが表れている踊り、気持ちを共有できたものが伝統。
若い感覚ではなく、先輩方がそう感じる芸能を継承していけば、伝統となる。
伝統文化とは・・・100年継承されてきた文化。
2006年8月11日、快晴。
恒例の自然文化学習会を開催しました。
今回のテーマは『井戸』。
最高の青空のもと、スタッフを含め13名の参加者が、ゆがふ館からスタートし、
1日かけて島の井戸17カ所を一歩一歩、歩いてめぐりました。
巡ったのは、ハナックンガー(花城井戸)、ナージカー(仲筋井戸)、コントゥカー(幸本井戸)など、
集落発祥の契機となった井戸や、明治時代のカツオ工場で使用していた井戸など、
それぞれにゆかりのある井戸。
まちなみ館でのお昼の休憩では、古謡「うむとぅから引く水」をうたって、
先人の生活に思いをはせました。
そして、最後に訪ねたのはミーナカー。
水源が地下深くにあります。
参加者は実際に水源までおりて、話を聞いて知ってはいたけれども、
実際に下りてみて、水汲みの大変さを実感しました。
竹富島では、旧暦の7月13~15日がお盆となります。(今年は新暦8月6日~8日)
学生などで旅にいる子どもたちもこのときは竹富に帰り、家族とともに三日間ご先祖様の供養をします。
初日は「迎えの日」、二日目が「中ショーロ」、三日目は「ウクルヒ(送る日)」と呼び、三日間ご先祖様を供養します。
各家では、ショーロガナシ(ご先祖様)をあの世からお迎えし、たくさんのごちそうでもって、ご先祖様を供養します。迎えの日のお供え物の特徴として「ズーシー」(炊き込みご飯)があり、この日には必ずこのズーシーをお供えします。
昔ながらの方法でお迎えしている家もありました。
門前でかがり火をたきご先祖を迎え入れます。
そして、夜。
アンガマーが家々を訪問します。
月夜のもと、ジカタ(地謡)の奏でる音色にのり、あの世からの訪問者としてクバ笠に手ぬぐいで顔を隠した姿の若者たちが、アンガマ踊りでショーロガナシ(先祖の霊)をもてなします。
先ず、日によってちがうニンブチャー(念仏歌)で始まります。ニンブチャーには、孝行念仏・七月念仏・無蔵念仏・園山念仏・かなし念仏などがあります。
他にも踊りを見たいといった先祖の声(裏声)が合図となり、様々な十八番の踊りが披露されます。
また、青年会によるエイサー。
太鼓の音が響き渡り、盛り上りを見せました。
三日目は、ウクルヒ。
ごちそうやウチカビ(紙でつくられたお金)とともにご先祖様をあの世に送ります。
ウチカビは送りの日に燃やし、ご先祖様にあの世へもっていってもらいます。
ウクルヒの翌日は、「スードーリ」を行います。早朝に各集落ごとに集合し、見送られてもまだ帰ろうとしないご先祖様に帰っていただくためや、お盆の間にきちんと送られることがなかった無縁仏などを払い、集落の道を清める意味合いとして、道の修復と掃除をします。他の八重山の集落では、このスードーリと同じ意味をもった行事として、獅子舞などが登場する「イタツキバラ」があります。
竹富島を取り上げた番組が放送されます。
●新日本紀行ふたたび 精霊のすむ島へ~沖縄県 竹富島~
「沖縄、八重山諸島の小さな島・竹富島。
観光地として有名ですが、この島にはリゾートホテルもレンタカーもありません。
住民の結束が、昔ながらの暮らしを守ってきました。
南の島…染色や古謡など、独自の文化を伝承しながら、
今を生きようとする竹富島の人々の姿を追いました。」
・2006年8月5日(土) 午前11時~11時40分
NHK総合テレビ(大阪局・名古屋局管内を除く全国放送)
・再放送1:8月10日(木) 午後5時15分~ /NHK BS2(全国放送)
・再放送2:8月13日(日) 午前4時20分~ /NHK総合テレビ(全国放送)
7月31日は旧暦の7月7日、七夕願いの日にあたります。
この日、竹富島ではナンカショーロ(七日精霊)といって、各家庭では墓掃除をしたり、お盆を迎える準備を始めます。ユツングミ(四つ組)のご馳走を、霊前に供え、七夕供養を行います。また、衣類、書画などを取り出して、虫干しをするのもならわしです。
午後6時ごろ、ミルク神にゆかりのある与那国家・大山家の当主をはじめ、公民館主事、有志らが、アイヂシン(紺地衣)を身にまとい、弥勒奉安殿に集まります。これは、毎年旧暦七月七日の日に弥勒様を参拝する公民館行事のひとつです。この祭事では虫干しの意味合いもありますが、厳かに祈願を捧ます。
また、一年のうちミルクの面を拝めるのは、この七夕願いと、種子取祭、節祭の三回のみです。
そして、女性がミルク神に近づくことはタブーとされているので、祈願は男性のみで執り行われます。