November 09, 2012

ヤマカチニアヨー

今回で第22回を迎える
竹富町民俗芸能連合保存会主催による

「竹富町古謡発表会」が、

12月9日(日) 黒島にて開催されます。

そこで今回は、
竹富島の伝承にも登場する古謡、

「ヤマカチニアヨー」をご紹介します。

(ta)

「山かちに アヨー」

    元  歌                      対  訳
1. 山かちにぬヨホー              山の樫の木は山の底に
   根下りやヨホー                根を下ろす
   山とんにどヨホー根や下りる       山底に根を下ろす

2.アサングル木ぬヨホー           ふかの木は山の頂に
   根下りやヨホー                根を下ろす
   山頂にどヨホー根や下りる         山頂に根を下ろす

3.スンムトゥキぬヨホー            オオタニワタリは石の上に
   根下りやヨホー                根を下ろす
   石ぬ上にどヨホー根や下りる        石の上に根を下ろす

4.瓶ぬ酒ぬヨホー                瓶の酒は
   根下りやヨホー                御膳の上でお供えをする
   う膳にどヨホー根や下りる          御膳に酒は供えられる

5.台ぬ酒ぬヨホー                台の酒は
   根下りやヨホー                高台の上でお供えをする
  高台にどヨホー根や下りる          高台に酒は供えられる

6.ばやけらーぬヨホー             私たちは
   根下りやヨホー                座敷に座る
  座敷場にどヨホー根や下りる        私たちは座敷に座る

7.ゆすけらーぬヨホー             あなた方は
   根下りやヨホー                喜びの座敷に座る
  ゆはな座にどヨホー根や下りる      あなた方は喜びの座敷に座る

8.うぬざふどヨホー               このような喜びごとを
  にがゆるヨホー                 願っている
  うぬ果報どヨホー               このような果報を
  てぃじりょうるヨホー              祈っている


【対訳参照 本庄正佳著 『竹富島古謡誌』 】        


「山かちに アヨー」が登場する伝承


西塘には一人の息子、宇座がいた。
首里に登る時連れて行く事が許されないで妻子を竹富島に置いて行った。
宇座は漁りするのが好きで暇さえあれば小舟に乗って魚釣りに出た。
或る日、急に嵐に遭って、小舟は木の葉の様にもまれ、
ようやく南の島に漂着して救われた。

一人息子を失った母カナメは、宇座のことが気になり、
自分の畑にあるユーナ木の側で、雨の日も、風の日も朝夕
宇座が無事で帰ってくれるよう祈願した。

その後、八重山の御用船が、沖縄より八重山へ帰る途中、
暴風に遭って南の島に流された。
その日宇座は南の島で、好きな魚釣りに出て、
八重山の「ヤマカチニアヨー」を唄っていた。

船員達は「ヤマカチニアヨー」を聞いて驚嘆した。
あの歌の主は八重山人に違いない。
はて、
こんな南の島に八重山の人が居るとは不思議だと思い、
船を近寄せてみた。
そして大声で、「貴方はどなたです」と呼びかけたら、
宇座は大声で、
「私は竹富島の西塘の子です。今より7年前この島へ漂流してきました。
この島人より可愛がられて相当な役職に就き、何不自由なく暮らしている。
八重山へ帰りたいが役職にいる身で勝手に帰ることができません。」

八重山では母が私の帰りを待っていますから、
下記の事項と、元気で居るということを伝えてくれと頼んだ。

◎母への伝言

 ‐豕掲鴫阿慮疂にあるデイゴの大樹は相変わらず真っ赤な花が咲きますか
◆〆抔恐阿寮勝⊃童世のガジュマルは今も木根を垂れていますか
 島人は今も夜昼、公務や年貢、御用布のため忙しいか

船員達は数日の後、八重山に帰ることが出来たので、早速竹富の母、
カナメに、宇座が元気で公職に就いていることを伝えた。
母カナメは大そう喜ぶと共に、毎日祈願した甲斐があったので、
此処を守神としてその後拝むようになった。
竹富の肝合掌(シムザーシ)御嶽がそれである。
この御嶽は、
今でも旅行や出征する兵隊さんたちが拝んでいる。
神司は場儀納の子孫である粟盛家の女がしている。

(語句を読みやすく訂正して掲載しています)

引用: 『西塘傳』 與那国善三、上勢頭亨共著
     1957(昭和32)年 沖縄西塘会発行

shimuzashion.JPG
シムザーシ御嶽 【2011(平成23)年10月】 写真提供:槙 貴雄 氏

投稿者 takidun : November 9, 2012 09:52 AM