January 27, 2012

「弥勒」

2日間にわたって行われるタナドゥイ(種子取祭)の奉納。
約70点奉納される芸能のハイライトの一つに

「弥勒」(ミルク)があります。

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「弥勒」  (2008年奉納)

今回は、
多くのテードゥンヒトゥ(竹富人)が憧れる芸能のひとつ、
「弥勒」についてご紹介いたします。

(ta)

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金斗鉉作 「弥勒」


玻座間村、仲筋村のホンジャー(芸能の統括者)の祝詞を終えた
直後の演目で奉納される「弥勒」ですが、
弥勒の御面をつける方は世襲で決められており、
与那国家の当主が担当します。

弥勒を守護する4名のシーザ(世座)は、
サチブドゥイは玻座間民俗芸能保存会の石垣会員、
アトゥブドゥイは玻座間民俗芸能保存会の竹富会員が担当します。
また、
弥勒からもたらされる豊かさを表す小道具を持つ従者役は、
庭の芸能で「太鼓」を披露した竹富小中学校の先生と生徒が担い、
子孫繁栄の象徴であるファーマー(子ども)は、
竹富島在住の子どもたちや、
島に血縁関係がある子どもたちに出演依頼の声が掛かります。

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「弥勒」  (2008年奉納)

竹富島で、
いかに「弥勒」が大切にされているかを感じることができるのは、
舞台以外に決して弥勒を歩かせないことや、
御面を移動する際に人祓い役が付くことなどが挙げられますが、
特筆すべきは、
弥勒を守護するシーザ役に対するチェック。
化粧はもとより足袋や下着の色から帯の付け位置、
ひいては専用の脚絆やセッタまでが用意され、
舞台に立つ直前まで厳しいチェックが入ります。

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弥勒の小道具を運ぶ竹富小中学校の生徒たち (2011年)

演目は、
弥勒がファーマーとともに従者を引き連れて登場し、
シーザ役のひとりが世持御嶽にいらした神々に供物を捧げたのち、
空手の型に似た演舞「シーザブドゥイ」を奉納し、
弥勒を先頭に退場する極めてシンプルな芸能ですが、
演目のはじめから終わりまでの約20分間
節をとる太鼓と笛の音が絶え間なく響き、
地謡が、
「弥勒節」「シーザブドゥイの唄」「ヤーラーヨー」を進行に合わせて唄い、
華やかな舞台をさらに一層厳かに引き立たせます。

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シーザブドゥイ (2011年奉納 サチブドゥイ)

出演前の舞台裏では、多数の出演者でごった返すなか、
舞台に立たせたい親御さんが、
弥勒の御面に対する恐怖感からか泣きじゃくる子どもをなだめたり、
緊張を鎮めようと精神を集中するシーザ役、
太鼓の奉納を終えた児童生徒が先生方に衣装を直されたりと、
慌ただしさのなかに独特の緊張感が窺えます。

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舞台を終えた後の出演者は、
多くのカメラマンの被写体として収まりますが、
奉納を終えたすがすがしい笑顔は、
御面や小道具を奉安殿へお返しするまではお預けとなります。

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投稿者 takidun : January 27, 2012 02:59 PM