July 21, 2011

ムチャネとイイヤチにみる島人のこころ

竹富島の四大祭のひとつ、
プイ(豊年祭)も無事に終わり、
島では日常の生活が戻っています。

こうしたなか、
プイの余韻に浸るかのように、
プイで食される食べ物のひとつ、
もち米、もち粟、あずきを蒸して練りこんだモチに似た食べ物、
「ムチャネ」の
“形”について触れてみたいと思います。

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2008年プイのムチャネ

(ta)

プイやナーキヨイ(長月祝い)では、
氏子たちが
六山の神前やトゥヌイムトゥ(御嶽の統括者)の床の間などに
シュナイ(長命草やパパイヤなどの味噌和え)
を供物としてを差し出しますが、
各家庭ではムチャネをつくります。
ムチャネは、
専ら各家のザー(床の間)やピーヌカン(火の神)、
ジージョン(土地の神)に捧げたり、氏子同士で振る舞ったりします。

2009nakiyoi.jpg
2009年ナーキヨイ アサイヤのジージョンにて

一方、種子取祭でつくられるイイヤチは、
素材もつくり方もムチャネとまったく一緒です。
しかし、このふたつは

呼び名が異なるばかりか、
* ムチャネ (語源はモチアワの飯と云われる)
* イイヤチ (飯初と漢字では表記する。初物のもち米ともち粟を用いる)

形や包むものすら異なります。
* ムチャネ 円盤状に丸め、蒸した際用いたイトバショウの葉で包む
* イイヤチ イイヤチダーという型枠に入れて形を整え、タビッキャ(ハマオモト)の葉で包む。

この違いは、
イイヤチカミの儀式を通じて、
イイヤチが種子取祭の儀式に大きく係わっていることで理解できます。
だからといって、
ムチャネが供物としての要素を持ち合わせていない
と考えるのは早計です。

たとえば、
以前、由布島に耕作に通っていた人々が、
竹富島で待つ子どもたちへ届けたお土産は、
「コンテー」と呼ばれる縦の楕円の形をしたおにぎり。
ユニークなその形は武骨ですが、
大きく見せようと工夫して子どもたちを喜ばせようとする
父親の気持ちが込められていることが、
コンテーについて語るお年寄りの言葉から
感じることができます。

ムチャネは、
普段私たちが握り易いと感じる「団子」ではなく、
より扁平な円盤状をしています。
ここに、
ムチャネの形からプイを祝う島民のこころが
垣間見ることができます。

何もない時代、
限られた素材のなかで、供物の形状を変えることで、
神々へ畏敬の念を示す心遣い。
さり気ないところに、
竹富島の人々の細やかなこころと
深い歴史を感じることができます。

参考:『南島の畑作文化』 賀納章雄 著 海風社発行 2007年

投稿者 takidun : July 21, 2011 11:49 AM