May 20, 2011

仲筋御嶽

竹富島に数多く点在する御嶽(オン)。
沖縄本島では“ウタキ”や“オタケ”と呼びます。
現在、竹富島には28あるとされ、
竹富島の精神世界の中心に位置する神聖な場所です。

今回は、竹富島の仲筋村の創設の神で、
竹富島で執り行われる神事の中心となる六山(ムーヤマ)のひとつ、
仲筋御嶽(サージオン)をご紹介します。

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仲筋御嶽には、仲筋村の氏神である
新志花重成殿(アラシハナカサナリ)と
渡来先の沖縄島から招かれた神がまつられています。
新志花重成殿には、ンブフル丘を一晩で積み上げた牛の伝承や、
竹富島最大の井戸である
仲筋井戸(ナージカー)を掘り当てた伝承がのこされています。
ちなみに、仲筋御嶽は“サージオン”と呼び、ナージオンとは云いません。
これは、
“サージ”と呼ばれる地に仲筋御嶽が置かれていることに由来しています。


創建の由来は、
琉球王国が1713年に編纂した『琉球国由来記』に記されています。

仲筋御嶽
神  名 宮鳥や神山
御いべ名 いへすし
(をきなわかなしより御渡あらしはなかさなりおかみ初る)


仲筋御嶽と密接な関わりがある仲筋井戸の水は、
正月元旦の初水として
国仲御嶽、清明御嶽、西塘御嶽へ捧げられており、
また、旧暦の1月8日と8月8日には、
竹富島の命を育んできた井戸への感謝の儀式を
仲筋御嶽の神司を中心に執り行なっています。

(ta)

― 犬の発見した仲筋井戸の話 ―

 はるか昔、竹富島の仲筋村の酋長、
新志花重成殿は竹富島の人々が飲料水に困らぬようにと
絶えず良い泉を探し求め続けていた。
ある日のこと、新志花重成殿は一匹の犬と散歩に出かけたところ、
後ろを付いてきた犬が一時見えなくなり、
しばらくしてその犬が尾を振りながら嬉しそうに戻ってきた。
その仕草に不思議そうに思いながら犬の尻尾を見たところ、
尾の先には泥水がついていた。
長らく干ばつが続き、
付近には水たまりもないのに犬の尻尾が濡れるわけがないが、
と思いながらも犬の後を追って茂みの中に入ってみると、
犬は蟹の穴に尻尾を入れ、
ここぞと云わんばかりに尻尾で水を巻き散らかした。
これは、もしかしたら自分が望んでいた泉かも知れない。
と感じた新志花重成殿は、自分の持っていた杖で蟹の穴を掘り起こすと、
清らかな水が湧き出てたちまち周りには水が溜まり小さな池となった。

新志花重成殿は、ここを深く掘り下げ、
立派な飲料水を湧き出せることができたため、
犬に感謝し、その井戸を犬の形に積み上げた。
それから後、
竹富島では正月元旦の若水、初水、出産祝いの命名水など、
おめでたいことがあった時には、
必ずこの井戸、すなわち仲筋井戸の水を使用するようになったのである。

出典 『竹富島誌 ―民話・民俗編― 』上勢頭亨著 法政大学出版局発行

※ 御嶽は神聖な場所です。
   鳥居から中へのお立ち入りはご遠慮ください。

投稿者 takidun : May 20, 2011 11:33 AM