January 12, 2011

岡本太郎がのこしてくれたこと

日本の最南端の町、竹富町。
南の島は一年間暖かな気候と思いがちですが、
ここ連日、昼間の竹富島の気温は16~18℃ほど。

気温だけで判断すると、
温暖な南の島だな・・・。と思いがちですが、
北から吹き下ろす風の冷たさにより、
体感温度はまさに真冬を感じさせます。

暖房設備が手薄な南の島です。
昨日ご来館いただいた竹富町の姉妹都市である
斜里町の皆さまも、
「マイナス17℃の斜里より寒い!」
と一様に話されていました。

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竹富東港桟橋待合所「てぇどぅんかりゆし館」
の上にはどんよりとした雲が浮かんでいます。


決して観光日和とはいえない今日の竹富島ですが、
赤瓦の屋根から雨水が滴り落ちる雨模様のゆがふ館に、
大勢の皆さまにご来館いただいています。

そのゆがふ館の鮮やかな色彩が際立つ展示パネルのなか、
異彩を放つ昔の風景が写し出されたモノクロの2枚のパネル。

どこか懐かしさを感じさせるこの2枚のパネルですが、
日本を代表する芸術家、
岡本太郎氏が撮影した
「1959(昭和34)年の竹富島の風景」です。

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いずれも「1959年11月29日の竹富島」
(川崎市岡本太郎記念館蔵)

若かりし頃、フランスで民族学を学んだ岡本太郎は、
日本人のルーツに深い関心を持っていました。
こうした影響から、日本民俗学の先駆者である
柳田國男先生と親交を持ち、
さらに、三線を通じて東京に竹富島の文化をもたらした
内盛唯夫翁との交流を通じて、
最初の訪沖となった1959年11月26日~12月2日の間、
竹富島に2泊します。

岡本太郎が訪れた時、竹富島では
竹富中学校創立10周年記念祝賀会が開催されており、
写真集『岡本太郎の沖縄』(2000年 日本放送出版協会発行)
では、踊りに興じる島人の姿も写し出されています。

さらに、岡本太郎は
多くの島人の顔写真をのこしてくれました。
写真からみる気品をもつ島人の顔からは、
竹富島を支え続けてきた誇りを感じさせてくれます。


岡本太郎は、
著書『沖縄文化論』を通じて沖縄に対し、
「何もないことへの眩暈」
という最大級の賛辞を贈り、
「それは私にとって、一つの恋のようなものだった」
と述べています。

沖縄に対し深い愛情を持ち続けた
岡本太郎が竹富島にのこしてくれたこと。

それは、竹富島の人々に対し、
心にそっと留めている故人への想いを、
引き出しを開けるように取り出し、
昔を懐かしみつつ素敵な笑顔を浮かべるお年寄りや、
幼いころの自分の姿をみて
当時の情景を思い浮かべる島人に、
喜びをもたらせてくれることではないでしょうか。

ゆがふ館に展示されている
モノクロの2枚のパネル。

ここには、
竹富島の記録と記憶がいっぱい詰まっています。

(ta)


投稿者 takidun : January 12, 2011 10:52 AM