ゆがふ館には、竹富島をより深く知っていただくために、
「テードゥンコラム」に竹富島の古謡・民話・祭の雰囲気
が収録されており、
ご来館いただいた皆さまに竹富島の“音”をご紹介しています。
そのうちのひとつ、「唄」のコーナーでは、
伝承者のかたがたの唄声から謡われる、
いにしえの竹富島の姿が垣間見えます。
華やかなにつま弾く三線に代表される歌謡は、こうした
昔から謡われ続けているうたに支えられていると云ってもいいでしょう。
今回は、竹富島の「古謡」の定義についてご紹介します。
1.アヨー
曲調はゆるやかで荘厳、厳粛な節回しを集団にて謡います。
祝座で謡われる「うた」といってもいいでしょう。
もっぱら農作物の豊穣を予祝・祈願する内容が多いのですが、
なかには願望、希望など願いが実現する様をうたう
予祝的な事柄もあります。
あまり恋愛や世俗的な事件をうたったものはなく、
呪的歌謡としての性格を持っています。
2.ジラバ
農耕祭儀や航海の平安を祈る旅祈願、
家屋の落成祝いなど諸祭儀の場で謡われる「うた」です。
一方で、農耕・労働の場でも謡われる労働歌でもあります。
歌詞の形式はアヨーと同様に対語・対句を重ねて事柄を謡い、
内容は農作物の豊穣予祝・祈願、雨乞い、航海安全の予祝・祈願、
井戸掘り、機織、恋愛、教訓、農耕労働など
共同体社会におこった種々の事件を謡っています。
現在ではユンタとの判別がつかなくなっています。
3.ユンタ
多くは労働の場で謡われますが、
なかには家屋の新築祝いなどの場や祭祀の場でも謡われます。
曲調はややはやく、歌詞の形式は対語・対句を重ねて事柄を謡います。
歌詞はアヨーやジラバと比べて長く、
男女の恋愛や農耕・労働、遊び、
人物評など共同体社会に起こった様々な事柄を謡っています。
祭祀の場で謡われるものには、
主に農作物等の豊穣を予祝・祈願しています。
そのほか、星や鳥・魚・蟹・猫などの自然の小動物に題材を求めたものもあります。
4.ユングトゥ
主に個人によって唄われます。
旋律をもたない独り言のような形式もあり、
ある種の芸能の一形態であるともいえますが、西表島では神歌として謡われています。
竹富島では、笑いを誘うような滑稽な歌詞もみられますが、
これは、祭儀の場にて神を喜ばせることであるとされています。
詠んだ個人の思いや感情などの比喩表現が独特で、
叙述の内容から個人の小宇宙を感じさせられます。
(ta)