July 08, 2007

コーラフ

竹富島には多くの祭事行儀や儀礼があります。
その中には、人が生まれてから亡くなるまでの節目に関わる行事や風習があります。
これから、数回にわたりこの人生儀礼を紹介していきたいと思います。

今回は、人生のはじめ、出産の時に関わる風習について紹介します。

○コーラフ

 子供が腹ん中に入ったら、
 子供の父親はコーラフのタコを獲りに行くさあ。
 タコが穴の中から出てくるのが、
 子供が子宮から出てくるのに似てるからがよ、
 まっすぐな穴にいる傷のないタコを獲ってくるんだよ。
 足が九本のタコは縁起がいいから
 「コーラフタクが穫れたぞ!」と言ったもんだ。

コーラフのタコは、父親になる男性が海で獲っておきます
タコが獲れない人は、タコ獲りの上手な人にお願いして獲ってもらい、
傷のない上等なタコを選びます。
コーラフは、出産を無事終えた労をねぎらい、
けがれを払うソージバライ(精進払い)の儀式です。
生まれた子供に産湯をつかわせた後で行なうため、出産後の最初の儀式になりますが、
子供が午後や夜に生まれた場合は、翌朝朝日が昇ってから行ないます。
これは子供の儀式は朝のうちに行うという慣習によるものです。
朝生まれたら、すぐにコーラフします。
コーラフのお膳にはゆでたタコと根つきのチョウメイグサが盛られています。
一緒に食べるとコーラフイーナーという小さなおにぎりは、
出産後のお母さんの体調に合わせておかゆになったり、大きなおにぎりだったり、
タコだけだったり、家によって少しずつ違ってきます。
出産に立ち合った人たち全員でゆでたタコと小さいおにぎりをいただきます。
タコは、根つきのチョウメイグサの葉に包んで食べ、味つけはお皿に盛った塩だけ。
子供の長命と無事な成長、子孫繁栄の願いを込めて、
コーラフのチョウメイグサは根つきのままつかいます。
タコには、海底にすむことから根つくという意味と、
8本の足から末広がりの繁盛の意味が込められています。

(ゆがふ館展示物『人のこと』より)

投稿者 takidun : July 8, 2007 03:36 PM
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