April 19, 2007

サニチ

サニチ(三月三日)は旧暦3月3日、“春の大潮”にあたります。
女性が浜に下りる祭事の日で、潮干狩りをし、浜遊びをして過ごします。
1年のうちで最も干潮が大きいので、潮が引けばずっと沖まで歩いて行くことができ、
潮だまりでシャコガイやタコなどの大物が獲れることもあります。

干潮の14時43分にあわせ、海を目指します。
浜に下り沖の方まで歩いて渡り、潮干狩りを楽しむ人々の姿がありました。

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この日は「サニチ」と呼ばれる、年中行事の日。
竹富島では、女性は浜に下りて手足を潮水に浸し、身を清めます。

その由来は、美男に化けた蛇の種をやどした娘が、
浜に下りて身を清め堕胎させたという伝説によります(『竹富島誌』参照)。
この伝説は竹富島のみならず、沖縄県内のほぼ全域に分布しているのは、
興味深いことです。
そこには清浄な海辺の砂を踏み、けがれを落とすという信仰がよみとることができます。
また、竹富島では、この日浜に下りない女性は、“フクロウになる”ともいわれています。

*「三月三日の由来」
昔、沖縄のある村にきれいな一人の女がいた。村の後方には大きな洞穴があり、その洞穴の中には二匹の大蛇が住んでいた。一匹の大蛇はその女を妻にしようとして、ある晩、武士に化け女のところへ忍びこんだ。
女は、その美しい若武士を一目で好きになり、また、ぜひ会いたいと思って、住所を聞いたが、なかなか教えてくれない。それで、ある晩のこと、女はこっそりと糸のついた針を若武士の髪束に強く差し込んでおいた。何も知らない若武士は明け方頃、人知れず自分の住んでいる洞穴に帰って行った。
女は糸をたよりに、おそるおそる行ってみると、洞穴の中にいる大蛇の頭に、若武士に差した針があった。それを見た女は大変驚いて岩屋の傍らに隠れ、大蛇の様子を見ていた。しばらくすると大蛇が、
「あの女は私の子どもを産むんだよ」
と、さも得意げにもう一匹の大蛇に話した。それに対して、もう一匹の大蛇は、
「しかし、人間というものはよく知恵が働くから、私たち以上に知っていることと思うのだが、来る三月三日の吉日を選んで、よもぎの葉の餅を作って、女がそれを食べて海水浴をしたとすれば、せっかくあなたが妊娠させた子どもは皆、海水で清められて死んでしまうのだよ。」
と話した。それを聞いた女は大変喜んで、早速三月三日によもぎの餅を腹いっぱい食べ、海へ行って穢れた身を潮水で洗い清めた。
そして、それから女は心の明るさを取り戻し、新たに女性としての幸運が開かれたという。
このことから、三月三日を女の節供と称するようになったと伝えられている。この日は、どの家でも蓬餅(ブツムチ)を作り、床の間の神や祖先に餅を供えて女性の前途を祈念し、島の女性たちは海浜に行って、潮干狩り、船遊びなどをして遊ぶのである。
(『竹富島誌』民話・民俗篇より)

投稿者 takidun : April 19, 2007 06:23 PM
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