「全国竹富島文化協会」が創立10周年を迎えました。
全国の竹富島ファンで構成される当会は、
毎年、竹富島と那覇で「星砂の島文化講演会」を開催しています。
今年、竹富島での講演は3月10日、まちなみ館にて開催されました。
10周年を記念した今回の講演会。
テーマは「竹富島の歴史と文化」。
かたちのあるものから歴史を解明する考古学
かたちのない伝承の世界から文化の生成を考察する民間文芸学
このふたつの対照的なアプローチで、竹富島の歴史と文化を見つめ直します。
講演者は、金武正紀氏と山下欽一氏のおふたり。
先ず始めに、金武正紀氏による“八重山の古村落”。
1986・1987年に実施された、新里村遺跡の発掘責任者でもある金武正紀氏。
現在は今帰仁村の教育委員会発掘調査アドバイザーを務めています。
新里村の発掘調査によって、八重山の古村落の解明に大きな成果があったとし、
次の2点を指摘されました。
●古村落には道路がなく、石垣で囲まれた屋敷と屋敷が、幅約70cmの通用門で結ばれていること。
●ひとつの屋敷跡に複数の建物が建つ。
現在の集落にもこのような形跡がうかがえ、今のまちなみと古村落とのつながりが、
金武氏のお話とスライドによって確認できました。
次に、山下欣一氏による“竹富島における根原神殿をめぐる問題”。
南島の民間文芸研究の第一人者である山下欣一氏。
現在は、鹿児島国際大学名誉教授であります。
長年にわたる、奄美・沖縄のユタの祝詞と神話・伝説・昔話などの比較研究を通して、心意伝承を探求されています。
玻座間御嶽の祭神 根原金殿の説話が、島でダイナミックに伝承されている過程を、昭和16年の事例を通して、うかがいました。
神話や伝説は単に語られるだけでなく、人や村落社会を動かす力になりうるということを学びました。
講演終了後は懇親会を開き、会員や聴講された方々が集い、親睦を温めました。
また、文化協会設立の経緯や、この10年を振り返るスピーチがつづきました。